相続のこと

生活保護者が相続放棄すれば相続にかかわらなくても大丈夫ですか?

生活保護者が相続放棄すれば相続にかかわらなくても大丈夫ですか?

相続について教えてください。

生活保護者でも相続人になれるのでしょうか? 生活保護者が相続放棄すれば相続にかかわらなくても大丈夫ですか?

 

相続人は3人です。財産は預貯金1,000万円と空き家になった土地建物です。
一人は生活保護を受けているので、相続を放棄する意思があります。
相続手続きでは、各金融機関、遺産分割協議書など、本人の署名や実印が必要になります。相続を放棄する者もそれぞれの書類に署名や実印を押すことになりますが、かなりの枚数になります。事前に「相続放棄申述書」の手続きをしていれば、これらの書類に相続を放棄した者はかかわらなくてもいいのでしょうか?

(川越市・男性)

少し確認させて下さい。

 

まずは、遺言書がありますか?
次に被相続人がお亡くなりになって3か月以内ですか?
相続を知った日から3か月を経過すると、相続放棄はできません。すでに相続人となり共有者となっています。

 

生活保護を受けている方は、本当に自分の意思で相続を放棄すると言っているのでしょうか? 生活保護が受けられなくなるので放棄したいと言っているのか?
この場合、生活保護法の趣旨に多少抵触しているのではないかと思われます。

 

また、手続きが煩雑だから相続を放棄しようとしているのならば、大きな誤解があると思います。確かに遺産分割協議書には、署名捺印と印鑑証明の添付が必要です。
遺産分割協議書の作り方次第で、各金融機関や不動産の相続登記は一人で実施することが可能です。遺産分割協議書の作り方の説明は長くなりますので、割愛させていただきますが、さほど煩雑なものではありません。

 

相続は、一生に何度も出会うことはないため、多くの方にとっては、未知の分野です。生活保護とも関係してくると余計に複雑になります。適切な専門家のアドバイスを得て、対応していくことをおすすめします。

少し硬くなりますが、生活保護受給者と相続について話します。

  • 生活保護者でも相続人になれますか?
    問題なく相続人になれます。ただし、相続というのは、財産の移転行為ですので、それにより生活保護受給者にとっては、受給決定時に届け出ていた生計内容から変動が生じる可能性があります。そのときに生活保護受給者としてすべきことは何かなど、理解しておくことが重要です。
  • 相続放棄をすれば相続にかかわらなくてもいいですか?
    相続放棄をすれば、相続人としての一切の権利義務から逃れられることになります。

生活保護法では、被保護者に対する義務として次の4つを定めています。

  1. 生活上の義務(第60条)
    被保護者は、自分でできる範囲で収入を得たり、家計の改善に努めること。
  2. 届出の義務(第61条)
    家計や家族状況、居住地の変更等があった場合には、すみやかに届け出ること。
  3. 指示等に従う義務(第62条)
    保護施設等への入居等に関する指示に従うこと。
  4. 費用返還義務(第63条)
    資力があるにも関わらず、保護を受けた場合には、その費用を返還すること。

遺産相続との関係でいうと、「届出の義務」、「費用返還義務」で影響がでます。生活保護受給者が、相続により現金や不動産などを受け取ると、収入等に変動が生じることになるため、届出の義務が生じます。その結果として、現在受給している生活保護の受給内容にどの程度影響が出るかということが問題になります。

 

相続放棄の選択可否

一番気にするところは、生活保護を受給している人が相続人となったとき、遺産を受け取ることにより生活保護が停止などされるのではないかということです。
遺産は相続人自身の能力とは関係なく承継されるため、生活保護受給者がまだ自力で稼げないにも関わらず、生活保護の受給が打ち切られると、生活の基盤が揺らぐことになります。そのことへの不安や心配から、相続放棄できないか、という考え方につながっていると思われます。
しかし、相続により遺産を受け取ることが確定している場合には、相続放棄は、「保護の補足性」(被保護者が遺産を活用することを条件として、国が不足分を補う)に反する行為として、認められないと考えられます。 実際の運用は、様々な事情を考慮して検討されるので、ケースワーカとよく相談して判断していく必要があると思います。
相続人となったときにまず行うことは、相続財産の内容を正確に把握することです。自分が受け取ることになる財産の内容により、現在受給している生活保護に変動が生じる可能性があります。どの程度の変動になるかは、相続財産の評価とその換金性の可能性によります。今後の対応をケースワーカと相談したり、生計の見通しを再検討したりと様々な対応が必要になります。

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